《5》

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  「誰も駄目だなんて言ってないでしょー? いいじゃないの、うじうじしたって!」 あっけらかんとした様子の彼女は、僕の背中から手を離して自分のグラスを取った。 ごくり、一口飲み込んでから、ふうっと息を吐く。 「響ちゃんって真面目だから。何となく消化できそうにないタイプだと思ったのよねー」 「…そんなことは…」 「自覚ないでしょ、たぶん」 少しだけ眉を下げた千紘さんが、僕の目を覗き込んだ。 「うじうじ、って言葉が悪かったかしら? ごめんなさいね?」 「いや…いいけど…」 歯切れの悪い僕の回答にも、彼女は微笑む。 どうしてだろう、いつもそうだ。 千紘さんの目からは、逃れられない。 じいっと僕を見つめていた千紘さんは、ふいっと前に向き直り、「だからね」と続ける。 .
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