《6》

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  「合コンなら行かないよ」 「早っ! 断んの早いなーお前!」 「松原が僕に持ちかけてくる相談なんて、だいたいそんなところだと思ってね」 言い終わるより早く、松原は呆れたように返した僕の腕に縋り付いてきた。 「さっすが神谷、俺のことわかってるなー! イケメンは違うなー! さすがだなー!」 「何なんだ、その褒めてるんだかわからない発言は…」 引き気味で彼の腕を引きはがそうとしている僕に、松原は神妙な顔つきで「なあ神谷」と切り出した。 「同期のお前だからこそ、誘うんだぞ? 俺はお前にも幸せになって欲しいんだよ」 「…それはどうも」 引き攣った笑みに、なってしまっただろうか。 少しだけ力を緩めた隙に、松原はまた僕の腕を抱えるように引っ張ってきた。 「だからさー行こうぜ今夜! かわいい子来るって言ってるからさー!」 「待て、行かないって言ってるだろう! 他の奴をあたってくれ!」 強い拒否に、松原の眉がぎゅっと寄る。 唇を尖らせた松原は、拗ねるように僕の腕をつついてきた。 「なーんだよー、この間はノリノリだったくせにー! あれだ、澪ちゃんが来た時だ!」 「っ、」 声に詰まった僕は、余程酷い顔をしたんだろう。 松原の顔色が変わり、腕まで解放された。 …思いもよらぬ方向から羽村さんの名前が出ると…どうも僕は平常心を保てないようだ。 .
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