《6》

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  僕が何か言おうとする前に、明るく笑った松原がサッと話題を切り替える。 「あっ、そういや聞いた? 御園、異動だってな」 「えっ…」 今度はまた別の意味で言葉を失った。 呆然とする僕に、松原は何でもない風に言う。 「行き先は営業、だったか? 内藤さんが引き取る話でまとまったみたいだなー」 「内藤さんが…」 その名前で思い出すのは、例の一件だ。 あれ以来、御園と直接顔を合わせることはなかった。 松原は頭の後ろで手を組んで、「でも、ま」と続ける。 「本人的にも良かったかもな? うちにいるとどーしてもお飾りみたいに扱われてたし」 「…そうだね」 頷いたのは、本心だった。 彼女を強く糾弾した僕が言うのも変だが、御園の立ち位置は、とても微妙なものだったから。 .
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