《6》

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  さらに状況を悪化させたのは、彼女の上司の性質だ。 昔ながらの…とでも言えばいいだろうか、男が優位に立つのは当然だ、と口にはしないが態度に出ているタイプだった。 彼が御園を気に入ったのは、見目麗しい女性だったからだ。 彼女を連れて行けばクライアントの態度が軟化する、その利点以外に理由はないだろう。 女は愛想を振りまけ、男に従え、それがお前の仕事だ、と。 行動の端々に、出ていたに違いない。 御園もきっと、途中までは上手くやれていたんだろうと思う。 だが、長くは続かなかった。 彼女がもし、僕が睨んだ通りに仕事をしたいと願っていたのなら。 それが叶わなかったのは、そしてどこかで間違った方向に歪んでしまったのは…部署の体質も関わっているのかもしれない。 実情を知っている僕らからすると、同情めいた気持ちも強い。 僕の心情を汲んでか、松原は苦笑しながら言う。 「でもアイツ、この間の一件以降は、かなり変わったんだけどなー。あ、もちろん良い方にな?」 「そうなのか?」 「ああ。俺はちょこちょこ絡むくらいだったけど、態度も柔らかくなったし、いろいろ勉強してるなーって感じだったよ。随分雰囲気も変わったしなー」 「そっか…」 ホッとしたように息を吐くと、松原はニッと笑って僕の背中を叩いた。 .
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