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「へえ? いい男なのにね?」
「…どうも」
目さえ合わせず、ただ答えた。
それの何がそんなにツボにハマったのか、彼女は「あっはっは!」と大口を開けて笑った。
「でも駄目! だってもう、何そのどんよりオーラって感じ! くっらいわー!」
「…」
反論する気にもなれなかった。
こんな失礼な女に『暗い』と思われようがどうでもいい。
あっけらかんとした様子を崩さないその人は、僕の顔を覗き込んで言う。
「そんなんじゃ、次の幸せ逃げちゃうよ?」
「…大きなお世話です」
答えてすぐに、もう残り少ない酒を一気に喉へと流し込んだ。
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