55312人が本棚に入れています
本棚に追加
松原と別れてから、どうしたものかと考えた。
確かにあの件は、御園との間に亀裂を生んだ。
違う、僕が自ら彼女を撥ね付けた、と言っていい。
だけど…それ以前の僕らの関係は、悪くはなかったはずだ。
御園の噂を聞く度に、首を捻ることだってあった。
内藤さんや松原から忠告されても、御園を信じている部分もあったからだ。
…羽村さんのことが絡んで、初めて。
怒りを心に秘めたまま、変わってしまったという、彼女と向き合うことになった。
+Dさんで見た、御園は。
僕の知っているはずの彼女とは…やはり違っていた。
負けず嫌いだったはずなのに、弱々しい素振りで僕を味方につけようとした。
いつも毅然としていたはずなのに、取り乱して大声を出した。
取引先の大事な存在であるはずの羽村さんにも、牙をむいて。
何かから逃れるように、『私は悪くない』と、主張した。
.
最初のコメントを投稿しよう!