《6》

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  「…あのさ」 「はい?」 顔を上げた彼女と目が合う。 次の瞬間、僕の口からは自然と誘いの文句が溢れていた。 「今夜、飲みに行かないか?」 「えっ…」 わずかに目を見開いた後、絶句した御園。 はっきりと動揺している彼女の心情を察することはできない、が。 僕からの誘いが、思いも寄らぬものだった、ということだけは理解できる。 少し目を伏せた御園は、何かを逡巡してから、僕に尋ねた。 「…あの、本当によろしいんですか?」 恐る恐る、といったようにも受け取れる声色だった。 僕は思わず「ははっ」と笑って、彼女に尋ね返す。 「何が? 誘ってるのは僕だよ? 御園の方こそ、予定は大丈夫なのかな?」 首を傾げた僕に、御園は「あ…!」と声を漏らしてから慌てて手を振った。 .
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