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「大丈夫です、ご一緒させてください!」
「そっか、良かった」
にっこり笑った僕は、さらに質問を続ける。
「何時頃にあがれそう?」
「挨拶回りだけですから、今日は定時です。神谷先輩の都合に合わせます」
「そう? じゃ、また連絡するよ」
「はい。…お願いします」
そう言った御園の顔には、少しの陰りが浮かんでいた。
久しぶり…いや、もしかしたら初めてかもしれない。
彼女のその素直な反応に、僕はまた苦笑しながら言う。
「…そんな心配そうな顔しなくても、ドタキャンなんてしないよ」
「っ、い、いえ、あのっ…そういうつもりでは…」
言い当てられたことに対する動揺だろうか、しどろもどろになっている御園。
少し紅潮した頬と合わない視線につい笑ってしまう。
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