《6》

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  笑い終えた僕が、「じゃ、また夜に」と言って去ろうとすると、御園が僕を呼び止めた。 「あ…あの、神谷先輩」 「ん?」 振り返った先、御園はまた美しい所作で、僕にお辞儀をしていた。 「ありがとうございます…!」 心から放たれたのであろう、その言葉を胸に刻み込む。 またふっと笑ってしまった僕は、大きく頷いてひらひらと手を振った。 …誰から学んだものなのかな、この真面目さと、素直さは。 以前の彼女にはなかった柔らかさ。 その一端を見た気がして、自然と僕はまた笑みを深くしていた。 .
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