いつもの二人

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「やっぱり、一回ビシっと言った方がいいよ! あのままじゃ杏花ちゃん付け上がっちゃうよ?!」 「う…、そうかなぁ…?」 菜摘の最もな意見に少し耳が痛い。 自分から言うのもなんか嫌で曖昧にしてきたのは私。 匡もあまりに積極的な子には慣れていないのか、そこまで本気で突き放したりはしてないみたい。 ……と、いうより…。 「安藤、2年のクラスに勝手に入ってくんな。 あと、俺は杏以外の女を呼び捨てにはしない」 匡は結構冷たく接していると思うんだけど、全くこたえていない。 ドの付くMなのかなんなのか…。 匡のさらっとした甘い言葉に少し体温が上がるのを感じながら、私は卵焼きをつまむ。 杏花ちゃんが私のことをじとっと睨んでいる気がするけど気のせい気のせい。 「……じゃあ匡先輩、今日の帰りは絶対一緒に帰りましょうね」 私を睨んだ時とは一変、すぐに可愛らしい笑顔を作ると匡の肩に触れる。 ほんとに嫌だ、この子…。 「俺は杏と帰るから」 「杏先輩は相澤と帰るみたいですよ」 「ちょ、誰もそんなん言ってな…!」 「ではまた部活で」 私の言葉を遮り、杏花ちゃんはすたすたと教室を出ていった。 「もう、なんのよあれ…」 小さく呟くも、みんな苦笑いだけで応えてはくれなかった。 …ほんと、いい性格してるよ……。
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