Page 18 あの日の君へ【Side S】

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ナタナエルは孤児ではなく、家族と共に街の中心部に住んでいた。 ――まぁ、"あれ"で"家族"と呼べるかどうかは今でも疑問だが。 ともかく、きっかけはそのミサであった。 もう少し正しく言うと、ミサをサボって遊んでいたラファエルが、ミサを抜け出してきたナタナエルと出会い意気投合。 翌週、ラファエルに連れられてやってきた彼女と私が知り合いになった――と、こと出会いに関してはラファエルと私を『私たち』とくくるには多少のタイムラグがあるのだが。 まぁいいだろう。 彼女――ナタナエルは私たちの二つ年上で、笑顔の絶えない明るい人だった。 だが、彼女を取り巻く環境がまずいものであることは、私たち二人ともが早々に理解した。
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