僕は、強くないから…

6/10
59人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
「…最近、上田おかしくね?何かあった?」 蓮の言葉を理解するのに時間がかかった。 頭が、ついてかない。 あたしの頭は海野くんで溢れてる。 「何もないよ。あたし、本屋に寄って帰るから。ここで!」 なんとなく、そばにいるのが辛かった。 「あぁ…うん。じゃーな。」 とりあえず、本屋に入る。 見たことのある人の姿があった。 「海野…くん?」 彼の様子がおかしい。 今までとは違う。 片手の震えをかばいながら、息を切らしてる。 「海野くん!!」 誰かが触れたらすぐに倒れそうなくらい、ふらついてる。 何があったの? 「来るな…来るな…」 額には汗、唇は紫色。 こんなの…おかしい! 「はぁ…大丈夫だから…はぁ…」 どうすればいいかわからない。 「病院、そこだから行こう?保険証は持ってる?」 「いいって!!」 ほとんどの人がチラチラと見ている。 「…ごめんね…上田さん。」 手の震えは無くなったように見えた。 顔色はまだ悪いけど、落ち着いたらしい。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!