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「芽衣…」
前にいる芽衣たちは手を繋ぐ。
少し彼氏が照れてるけど…
「うわっ…どんどん人が多くなってるね。」
海野くんの手を見てしまう。
キレイな手…
この手に…
少しでいいから触れたい。
どんっ!!
「いった~い!」
浴衣は動きにくいし、
知らない人にぶつかるし、海野くんとあまり話せないし…
「もう、しょーがないな(笑)本当に可愛いね、上田さん。」
そう言って、
手をあたしの前にだす。
ヒュゥー…バン!!
あたしと海野くんは、
芽衣たちと離れて
花火がよく見える川沿いにいた。
「キレイだね…」
そう言った海野くんにうっとりしてしまう。
「うん…」
ドキドキする。
いつもより…
「上田さん……」
だんだんとお互い顔が近くなる。
もしかしたら…
同じ気持ちなのかな?
期待したらいけないの?
いろんな事を考えながら目を閉じる。
…あれ?
なんか、おかしい。
あたしの肩に触れていた海野くんの手がない?
あたしの勘違い?
恐る恐る目を開ける。
目の前では、
信じられないことになっていた。
海野くんは汗だく。
なのに、顔は真っ青。
震える両手。
目を開けてすぐ海野くんは倒れた。
「やだ…海野くん!?誰かに…そうだ、救急車っ…」
涙をこらえて、
震える手でケータイを打つ。
苦しそうな海野くんが怖い…
まるで、おかあさんの時みたい。
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