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紫外線を惜しみなく大盤振る舞いする太陽SUNに背中を任せ、かろうじて我にかえってドアノブに手をかける。
野郎のおかげで、どうやら反抗期になったらしいドアノブに掌を焼かれながらパンドラの箱を開けてみる。
室内からもれる尋常なる湿気に身を包まれながら玄関にマイシューズを着艦。
湿気の塊を押し進むかの様に廊下をダラダラと歩く。
靴下の湿りがやけに鬱陶しい…足を踏み出す度にビタビタと廊下のフローリングに奏でる。
しかも、もう一つペタペタと言う足音が俺の足音にデュエットを申し出る。
恐る恐る背後を振り替えってみる…
9.5割方予想は出来たが、どうやら俺は段ボールに相当好かれているらしい。
「おい段ボール、なんで入ってきてんだ…」
当然の質問だ。
もはや疑問だ、他人の家に無言で上がり込むなんて言語道断。
しかもその上それが段ボールともなれば、マダガスカルにでも着払いで郵送してやろうか?
…などと言う恐ろしい考えに至る訳で。
「あ、あひゅいから…」
俺の声に反応した段ボールは、少しピクッと跳ねてペタペタ演奏を一時中断。
そして返答。
正論である。
暑い、故にエアコンのスイッチを入れようとしている俺の背後をつける。
夏の暑い日に誰もが行う極一般的な行動…ではない。
だが、その言葉につっこむ程俺のHPは残っていない。
段ボールと相対している今でも、ジリジリと俺の体力ゲージは削られていく。
な・の・で、放置処分を段ボールにくれてやって俺はリビングに直行して、エアコンのスイッチを入れる。
ミッション完遂。
長期間休みを勤しんでいたエアーコンディショナーは、ダラダラと主人に文句でもはくかのように鈍い機械をたてて冷風を吐き出す。
働けニート。
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