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この日私は非常にむしゃくやしていた。
慣れない生活に環境。
そんな中で無意識のうちにストレス溜めこんでいたのだろう。
気分転換のためだろうか。
この日の私はいつもとは違う道で自宅に帰ろうとしていた。
この行動が人生で一番の過ちだと思いもせずに。
本当にイライラする……ッ!!
あのクソ上司ッ!!
人が逆らえないからって好き放題怒鳴りまくってさ……ッ。
私の勤め先の上司は時代遅れの堅物で、とてもいやみな人だった。
気の強い私とはよくぶつかって、その度に立場の弱い私が負ける。
部下という立場的にも、女という性別的にも。
本当に……このままじゃいつか過労死していまいそうよ。
「私の人生どうなるのかしら……」
思わず独り言を呟いてしまった。
気分が沈むと独り言をいってしまうのは私の悪い癖。
……周囲に人影はなし。
こんな独り言、誰かに聞かれたら暗い人って思われそうだから一安心。
まあ、こんな人通りの少ない道に他の誰かがいるとは考えにくいけど。
だからこそ犯罪が起こりそうな危険な場所でもあるわけだから、早く通り抜けないと……。
私は歩くペースを上げて早歩きに。
それにしても……。
ハァ……この町に仕事の関係で転勤してからろくなことがないわね。
……確かこの町に引っ越してきたのはちょうど一ヶ月前だったかしら。
町の名前は上守町(カミモリマチ)で、なんか神聖そうな感じの名前だったのを記憶している。
そんなことはどうでもいいんだけど。あの上司がムカつくのなんのって……ッ!!
思い出したら余計に腹が立っていきたわ。
ここで最初で最後の警告となる出来事が。
……あら?
何の音かしら。
後ろの方から足音のようなの聴こえてきた。
さっきまで人の気配なんて感じなかったのに足音なんておかしいわね。
この道は直線の一本道なんだけど所々に人が隠れやすそうな障害物が点々としている。
その上通る人が少ないから犯罪が起きやすい構造。
この辺りで犯罪が起きたって話は聞いたことがないけど。
聞いてたら少し遠回りしてでもこの道は避けてるわ。
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