第三話・交換条件

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「一体……なんで……みなさん……」 「それは、なんで王族ばっかりこの家に集まるのかって? それとも、どうして王族がこんなところにって?」  状況が整理できず、混乱するフィオナに追い打ちをかけるように、双子の胡散臭い方――ユーリが、余計に混乱するようなことを言ってくる。 「前者なら、回答は『分からない』後者なら、『それはおいおい』ってトコですかねェ? ウィル」 「そうだね。まあ、話したくないならいいんだ。君も事情があるのだろうし……今はまだ、聞かないことにするよ。それよりも、俺たちが、これから君のことをなんて呼べばいいのか考えようか」 「あ、すみません。私、フィオナって言います」  そう言えば自分だけ名乗っていなかったことを思い出し、慌てて自己紹介をする。 「フィオナ……ね」  ウィルが小さく繰り返す。綺麗な紫の瞳にじっと顔を見つめられ、フィオナは焦った。とっさに本名を名乗ってしまったが、まずかっただろうか。  ちょうどその時、壁に掛けられていた時計が3度鳴った。機械仕掛けの鳥が出てきて、黒い猫を追いかけ、突き回すという、何ともシュールなからくりだった。 (って、3時……?)  ハッとして窓の外を見る。外は明るい。  今は、昼の3時だ。  違和感を口にする前に、さっきまで俯いていたリッドの顔が、ぱっと明るくなった。 「よっしゃ3時だ! おやつだ! カミュ、今日のデザートは!?」 「……お前、現金なヤツだなぁ……まあいいけど。本日の俺様のスィーツは……だだだだだらんっ! 庭で取れたイチゴを使ったフルーツタルト!」 「いえーい! いっちごー!」  どうやら、3時はおやつの時間らしい。微笑ましいやりとりに、思わず緊張が肩から抜ける。
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