いってんれい【滅びるよ、絶対に】

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 ――幸い、僕はあまり“そういう事”に無縁な人生を送ってこれた。そりゃあ、中一の時に間違った中学デビューを果たし、クラスの全女子に蛇蝎(だかつ)の如く嫌われたりもしていたけれど、それでも反面同性の友達は多かった。進級しクラスが変わり、今度は嫌われないようにと大人しくなった後も、ちらほらと友達はいた。高校に入ってからも、無難な友人関係を築いた。二年生からはクラス替えの巡り合わせ上、友達はいなくなったけれど、それでも目立つことなく卒業できた。  僕にはこの先、一生を掛けても少女の気持ちは分からない。かといって、可愛いそうなんて軽々しく思える程の勇気も持ち合わせてはいなかった。  だからきっと、これは同情なんかじゃない。  だったら――何故?  何故そもそも、僕は今ここにいるのだろうか。  立ち去れ無い理由は分かった。ならば、あの時少女の隣に座った理由は?  会話が無いので、余計なことだけは考えられた。  そろそろ人が通ってもおかしくない時間帯だ。その時、僕は一体どんな風に見られるのだろう。  パンツ姿の幼い少女の横に座る、成人男子。あわよくば兄妹に見られるだろうか。いや、兄妹に見られたところで、だろう。
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