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「薫…」
クローゼットの前で、どれだけ突っ立っていただろうか、壁に取り付けられた時計の針が、重い時を刻んだ。
人生は本当に色々だ。
裕太はその衝撃から解放されるにはかなりの時間が必要だったが、特にどうすることもなく、テレビの電源を消した。
暗い画面に、ぼーっと突っ立っている自分が映った。
家を出ると、外は寒かった。同窓会の会場はあまり遠くはないため、少し走ればたどり着く。
しかしもう遅い。携帯ではすでに20分遅れを知らせていた。
寒空の下、裕太は思った。
今日はきっと、心から楽しむことは出来ないかもしれない…と
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