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会場の居酒屋に着くと、当たり前のように同窓会は始まっていた。
本当に懐かしい面々ばかりだ。
気がつけば、裕太は再び笑顔を取り戻していた。
「小島あ、おせーよバカ!」
「その口の悪さは、前野だな!?変わらねーなお前も」
同窓会らしい会話だった。その後も、懐かしい記憶と共に、個々の人物を思い出していった。
そして、次に前野が口を開いた瞬間、またもや裕太の笑顔は凍りついた。
「おう、こいつは花巻薫だ、変わっただろ?美人になってやがる」
先ほどの消えかかった衝撃が、再びぶり返した。
同じなのだ。テレビで見た殺人犯、花巻薫とまったく同じ顔だ。
それもそのはず、裕太自身、信じたくはなかったが、裕太の初恋の人物と、殺人犯、花巻薫は同一人物なのだ。
彼女は暗くはにかみ、早々にテーブルに戻っていった。
「な…なあ前野、花巻って…その」
「なんだなんだ?お前まだ花巻に惚れてるのかよ、一途だねぇ」
「いや、だから!花巻、花巻だよ!!殺人犯の」
「殺人犯!?はあ!?バカお前、何言ってんだよ!」
彼女に声が聞こえたのか、花巻はテーブルから裕太を睨みつけた。
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