0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
はぁ…はぁ…はぁ…っ
息が切れる。
朦朧とした意識の中、
気がつくとゆめは
校舎の長い廊下を
息も切れ切れに無我夢中で走っていた。
状況がうまく掴めないが、
どうやら何かに追われてるらしい。
無意識のうちに、身体が危険を察している。
ガシャガシャガシャガシャ
金属のぶつかりあう音が
徐々に近づいてくる。
ゆめは身体をひねり、
そのままのスピードで
階段を駆け下りた。
走る速度に足がついていけず、
もつれてしまいそうだ。
そもそも、ゆめは
優れた運動能力など持ち合わせていない。
このけたたましい金属音から
逃げきれる自信なんて
これっぽっちもなかった。
それでも今日は妙に身体が軽い。
ふわふわとした頼りなさはあるものの
自分が何か新しい能力でも手にしたかのように軽やかに足をすすめている感覚がした。
最初のコメントを投稿しよう!