prologue Ⅰ 始~ハジマリ~

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俺が道場に着いたとき、中では部員たちが整列していた。 列の前には監督と主将が立っていて、なにやら物々しい雰囲気だった。 「先輩、早くこっちに」 恵斗が入ってきた俺に気づいて、手招きをしている。 俺が列に入ると、主将が一歩前に出た。 「よし、全員揃ったな。では、今から来週の練習試合について監督から報告がある。」 そう言うと主将は一歩さがり、監督が前に出る。 「来週に予定していた帝屠高校との練習試合だが、中止になった」 道場内が騒然とした。 「どうしてですか?」 ざわつく部員たちの中、誰かが監督に尋ねる。 「皆、久汀十真(くなぎさとうま)は知ってるな?」 久汀十真。 帝屠高校剣道部3年、主将。 現在の帝屠高校剣道部の要であり、かなりの実力を持っている。 入部以来一度も負けたことがないという噂も聞く。
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