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すぐさま父のもとへ行き、
「父さん、ただ今帰りました」
「うむ。そうだ、ちょっと手伝ってくれんか?」
「良いですけど、何をすれば良いんですか?」
「うむ。この後、生徒たちに練習試合をしてもらおうと思っているのだが、なにせ人数が多いのでな。一人では手が回らんのだ...。そこで、二つのグループに分けて片方をお前に見てもらおうと思ってな」
なるほど、そういうことか。
まぁ、俺に出来るのは精々それくらいだろう。
「わかりました」
「うむ。では、道着に着替えてきてくれ」
「はい」
俺はすぐに更衣室に入り、制服を脱いで道着に着替える。やっぱりこっちのほうが落ち着く。
それから俺は、任せられたグループの生徒たちの試合を審判をしながら見て、必要とあればそのつど指導もした。
とは言っても指導の内容のほとんどは父からの受け売りだ。
とまぁそうこうしている内に、今日の練習が終了した。
「今日の稽古はこれまで。皆まだまだ未熟ではあるが確実に力はついてきている。これまでやってきた事を忘れずに、これからも精進するように。以上」
「はいっ!ありがとうございました!!」
中学生達が出ていくと、道場に静寂が訪れた。
「そろそろ晩飯の時間だ、いくぞ」
「はい」
父も俺も、着替えを済ませ道場を後にした。
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