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その日の食事の席での事。
「どうだ、最近の学校は。楽しいか?」
食事中滅多にしゃべらない父が珍しく口を開いた。
しかも、俺の学校生活の事を聞いてくるのは相当稀だ。
最後に同じ質問をされたのは……小学5年生の頃だったろうか…。
「珍しいわね。あなたが学校の事を聞くなんて」
母も同じことを思っていたようだ。
「なに。たまにはな」
この人の「たまに」は一体何年分を指す言葉なのだろうか……。
「学校ですか。楽しいですよ、いつも通りの充実した学生生活です」
嘘をついた。
本当はちっとも充実などしていない。
退屈なだけだ。
でも、とてもじゃないが、両親の前でそんなことは言えなかった。
「そぅ。楽しそうでなによりだわ。ねぇ、お父さん」
「うむ」
「何か困った事があったらすぐに言ってね?いつでも相談にのるわ」
「ありがとう母さん」
以上。本日の食事中の会話終了。
これでも長く続いた方だ。
酷い時には一言もしゃべらない時もある。
が、決して家族仲が悪いわけではない。
単純に、ここにいる人間全員が食事中にしゃべらない質なだけだ。
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