prologue Ⅰ 始~ハジマリ~

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食事を終えて部屋に戻ろうとしたところで、母に呼び止められた。 何でも俺が道場に行っている間に、俺宛てに小包が届いていたらしい。 「小包?誰から?」 「それが、差出人の名前が無いのよ……」 差出人不明と言うやつか……。 「それは今何処に?」 「あなたの部屋の机の上に置いておいたわ」 「わかった。ありがとう」 とりあえず確認しておこう。何が届いたかは分からないが、興味はある。 部屋に入って電気をつけると、机の上に母の言っていた小包があった。 が、俺が思っていたよりそれは小さかった。 手にとって確認してみたが、包みには確かに差出人の名前は無かった。 あるのは宛名。つまり俺の名前だけだ。 大きさと重さからして、 「本か……?」 包みをはがすと、予想は的中していた。 中身は一冊の本。 表紙、背表紙、裏表紙。 作品名も、作者の名前も無い、どこにも何も書いて無い真っ黒な本。 「なんだこの本……」 正直不気味だった。 俺は、その本を開かずに机の上に戻し、風呂に入って寝ることにした。 明日気が向いたら読んでみるか。 その夜、久々に夢を見た。 夢の内容は……覚えていない。
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