prologue Ⅰ 始~ハジマリ~

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翌日。目を開けるとそこには見慣れた天井があった。 目が覚めてからは流れ作業だ。 起きる、朝食を食べる、顔を洗う、歯を磨く、着替える。 そして家を出る。 授業を受ける。寝る。 放課後になる。道場へ行く。 練習メニューをこなし帰宅。 その日、家に帰った俺は父に道場に呼び出された。 「今日はどうしたんですか」 今日は特に手伝いは頼まれていないはずだ。 「うむ。久々にお前と手合わせしたくてな」 父と手合わせ……。 最後にしたのは俺が高校に入学する前。 約二年ぶり。 父の口からその言葉を聞いて嬉しくもあったが、正直なところ不思議でもあった。 何故今なのか……? 聞きたいが、聞いても答えてはくれないだろう。 少なくとも今は……。 「どうする。やらないのか?」 「あっ、いえ。お願いします」
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