Sweet lies

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「私に合わせてくれなくてもいい。責任を感じてくれなくてもいい。……大丈夫だよ。私はあなたと離れてもちゃんと生きていける。 友達にはなりたくない。友達以上の気持ちをもって友達なんてできそうにない。だから……元カノとしてはみてね?」 否定をしてくれればいいのだけど。 晃佑は否定もせずに私から離れるようにベッドの上に座って。 私はまた諦めの気持ちを持たされる。 別れたくないなんて素振りを見せておいて、なんで何も言ってくれないんだか。 ……わかってるけど。 もっと傷ついて。 忘れないで。 誰にでも優しくすればいいってものじゃないことを。 私は起き上がると、クローゼットを開けて着替える。 着替えて、鞄を取り出して、荷物を鞄に詰めて。 「……知花」 晃佑の私の名前を呼んでくれる声が聞こえた。 私は晃佑を振り返る。 俯いていた。 暗くてその顔はよく見えない。 「……一度に全部持っていくのは無理だから、またくるね。それまで部屋の鍵は持っていてもいい?」 「……俺、振ったの?これ。俺のこと好きなくせに」 「恋愛ごっこ、していたいの?」 聞いても答えはなくて、私は鞄に入るだけの荷物を詰めると、俯いたままの晃佑のそばに寄って、ベッドのそばに座り、その顔を下から覗き込んで見てやった。 泣いてはいない。 傷ついた顔は見せてくれている。 晃佑は私を見て、私にその手をのばして。 私は晃佑の手を指を絡めて握った。 あなたのためだとか、そんな言葉は言いたくもない。 ミクと戻ればいいとか、そんな言葉は言いたくもない。 「……嘘でもいいから、最後に言って?愛してる?」 「……知花の馬鹿。アホ。ボケ。ナス。カス」 この男の首を絞めてもいいと思う。 拗ねたようなその言葉に私は小さく笑って、手を離そうとしたら、晃佑は強く私の手を握った。 「愛してる。…いかなくていいだろ?」 「私は大嫌い」 愛してると言わせて、私はそんなふうに答えて。 その唇にキスをした。 ありがとう。 ごめんね。 バイバイ。
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