Secret space

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加藤くんが言ったことがそのまま晃佑の気持ちになるのなら…。 ミクが晃佑とつきあって、また違う人を好きになったと言うのなら…。 晃佑が…私を取り戻そうなんて本当に思ってくれているのなら…。 優柔不断。 私が告げた別れなのに。 存分にお互いに当たることのない蹴り合いをして、晃佑と加藤くんの間で話はついたらしく、私は加藤くんの車で加藤くんに送ってもらうことになった。 ばくばくした心臓も晃佑に抱きしめられて落ち着いて、私はその助手席に乗せてもらう。 「あいつもあいつだけど、トモちゃんもなんで了承して俺の車に乗ってるの?だから俺はまったく安全というわけでもないって」 「なんだかんだ言いながら晃佑は加藤くんを信じてるよね」 最終的決断は晃佑が決めた。 すごい嫉妬してくれるのに、私に加藤くんに送ってもらうように言って、私は帰る足もないからここにいる。 おいて帰られるのは嫌だし。 手を出したらまた噛みついてやる。 「答えたくないこと多すぎない?」 「そういうわけでもない」 ただ、加藤くんを安全な人と見ているわけでもないと言うのがこわい。 そういう雰囲気にはもうなりたくない。 「ま、いっか。俺も海に沈められたくもないし、もう不用意には手を出すつもりないし。 それで?戻るの?」 答えに迷うことを聞いてくれるから、はぐらかすように話題を逸らしてしまうというのに。 「私が決めること?」 「コウの意思は見せさせた。俺の意見も聞かせた。他に誰が決めるの?」 「……ミク?」 「……わかった。トモちゃん、わかっているくせにそう言うんだよな?コウがミクと戻りたがってはいないとわかっていて。俺とつきあう?」 「遠慮します」 「だったら素直に自分が決めるべきことだって認めようよ」 「……私、晃佑を振り回してる。ミクと変わらないんじゃない?」 「いや、変わるだろ、それ。トモちゃんの気持ちがあるとあいつもわかっているから、別れたことを認めようとしないで、トモちゃんを取り戻すって言うんだろ?あいつが追っているだけ。 トモちゃんはあいつに何を求めている?ミクのことを疑ってやってもいいけど、二股するようなやつじゃないぞ?」 うん…。 わかってる。 晃佑は誠実。 「私だけ…愛されたい」 その究極の我が儘とも言える本音を口にすると、加藤くんは笑い飛ばしやがった。 真剣に言ったのにっ。
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