Special

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聞かないとわからない。 本当のことをいつも言ってくれるとは限らないけど、妄想がまた突っ走って一人で悩んでしまわないように聞いているつもりである。 そこを気にしてしまうのは、…仕方ないと思ってもらいたい。 でも晃佑にとってそれは言いたくもないことのようで。 言ってはくれるけど虐められる。 そういうこと以外は以前と変わらないかもしれない。 私は晃佑の行動を縛りたくはないけど、晃佑はそれでいいかのように友達と遊びにいくことはない。 その広すぎるとも言える晃佑の交友関係が本当にそれでいいのかとは悩む。 とはいっても、私を連れてその交友関係に戻ると言われても、私は遠慮してしまうだろう。 同棲はしていない。 していないけど、晃佑が私の家に泊まるのは当たり前のようになっていて。 今度は私の家に少しずつ晃佑のものが増えていってしまっている。 私の家の鍵を晃佑は持っていて、私も晃佑の家の鍵を持っている。 同棲して片方の家を引き払えばいいくらいに、ほぼ毎日一緒にいる。 「今日も泊まっていい?」 「ダメって言っても泊まるでしょ?」 「余程の理由がない限りは。おまえ抱いて寝ると朝まで眠れるから」 私は晃佑の睡眠安定剤らしい。 …うれしい。 甘えたなんだからーなんて思ってみても、うれしい。 他の女を安定剤にしたら、私はぶちっとキレてしまうかもしれない。 私だけという特別がたくさん欲しい。 欲張りだ。 晃佑の体にぎゅっと抱きついて、その体の上で丸くなる。 「……腕枕で我慢する気ない?寝にくい」 「腕枕されると抱きつきにくい」 「俺が抱きついてる」 「私も抱きつきたい」 私の希望を口にして、その顔を見るように顔をあげると、うれしそうな顔をしてみせてくれていた。 「犯されたくなるから、やっぱダメ」 希望をうれしそうにしてはくれたけど、私は転がされて晃佑の隣に横になる。 「犯されるの好き?」 「知花が積極的になってくれるから好き。知花は?俺に犯されるか、俺を犯すか、どっちが好き?」 私はそれを考えてみて。 「どっちも好き。…腕縛られたくなってきた」 「……そのプレイ嫌がってなかったか?」 「軽いSM好きかも。調教されちゃったかも」 「調教してないっ。というかできないっ。そっち開拓するのはやめてくれ」 …全身縛られてみたい。 なんていう私の希望は喜んではくれなさそうだ。
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