Special

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私に不満がないのか、拘束するものがないのか、晃佑は私の行動を特には何も言わない。 私が縛ってしまっているから…、私のすべてをあなたに預けるという気持ちで、体を縛られてしまってもいいと思う。 自由は少し物足りない。 私も縛られたい。 「……知花?俺を酔わせてどうするつもりだ?」 晃佑の休前日。 晃佑の家に酒を大量に買って持っていくと、私の企みはバレまくりのように言われた。 「記憶を飛ばす」 私ははっきりとその企みを言ってあげる。 「だから、記憶なくすくらいに飲んだら、その間の俺の行動や言動には責任持てないから嫌なんだよっ」 「大丈夫。私が責任とる」 「おまえに何か変なこと言って、おまえに何か変なことするかもしれないだろっ?」 「酔ってみないとわからない。おつまみ何か作るから先に飲んでて?」 「……だから何するんだよ?シラフじゃ言えないのか?」 言えるけど、酔っ払い晃佑じゃないと流されてしまう。 酔っ払い晃佑なら…。 私はそれを考えて、それが楽しみで思わず笑顔になって。 「飲まない。絶対に飲まない。飲みすぎると途中から本気で記憶なくなるから」 「大丈夫。晃佑が泣いても誰にも言わない」 言ってない。 「……泣いたのか、俺」 って晃佑はどこか落ち込んでしまった。 「1回だけ。あとはいつもより笑顔で強引でえっちになるだけ」 「……つまりおまえは酔って記憶のなくなった俺としたいって?」 そこにすぐに結びつけてほしくないものだ。 そして自分に嫉妬をしないでほしい。 私にとっては酔っていてもいなくても晃佑だ。 「誰も言っていません」 「言ってる。じゅうぶん言ってる。シラフでいいだろ?しよっか?飯食べて風呂入ってからな?」 違う…。 目的と違う…。 これは自主的に飲んでもらうために喧嘩でもするべきか。 それとも加藤くんでも連れてきて飲み会にするべきか。 私では晃佑に飲ませることは不可能みたいだし。 うーんと考えていると、晃佑は後ろから私に抱きついてきた。 「言ってみな?俺に何かさせたいんだろ?どんなふうにされたい?」 耳元、誘うようにそう声をかけられると、酔っ払い晃佑に言われてる気になる。 「……縛って?腕も足も全部」 「………なんでそれが酔った俺ならできるって思うんだよっ。知花のスケベっ」 言うんじゃなかった…。
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