Special

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できると思う。 酔っ払い晃佑ならしてくれると思う。 にやにやしてからかいながらでも、私が途中でやっぱりいやって言ってもしてくれると思う。 それ以上のことをされてしまう可能性もあるけど。 晃佑は酔っていても、私をかわいがってはくれる。 どちらかというと惜しみなく愛情を注いでくれている気がする。 酔っていない晃佑とは、なぜか譲り合えない状況になることが多くて、痴話喧嘩は多いかもしれない。 私がむぅっと頬を膨らませて、軽く唇を尖らせても、晃佑はしてあげるなんて言うこともなく。 無言で無視したまま食事の支度。 喧嘩するつもりはなかったのに喧嘩になってるし。 無言で一緒には食べる。 晃佑は私が買ってきた酒に手をつけて、私も手をつけて。 それでも無言。 泣きたくなってきた。 やけ酒のようにどんどん飲んだら、私のほうが潰れた。 すごくすごく寂しくなって声をあげて泣いた。 意識はあることはあるのだけど、制御しようとも思わないし、制御できない。 気持ちのままに泣いてしまった。 「ちょっ、知花っ?そんな子供みたいに泣くなって。酔ってるのか?ごめんって」 なんて晃佑は驚いたように慰めてくれて、私は晃佑に抱きついて膝の上に座って、すりすり甘える。 「……俺を潰すつもりでなんで潰れてんだよ?俺のほうが飲んでるのにまだ潰れてないぞ?」 「もう酔い潰れなくていい。ぎゅうってずっとしていてくれたらいいの」 意識はあるけど無意識だ。 晃佑の体温を感じてるのが気持ちいい。 喧嘩なんてしていたくない。 晃佑の首筋にキスをしまくると、晃佑は軽く息をあげて私の頭にふれる。 「裸で抱き合う?……縛る?」 「して。なんでもいい。晃佑にふれられたい」 なんてシラフじゃ絶対に言えそうにもないこと言って、私は自分のトップスを脱ぎ捨てて、晃佑の服を脱がしにかかる。 意識はあるけど意識はない。 なんでこんなことしているのか考えようなんて思ってもいない。 晃佑は上を脱がされてくれて、私はその膝からおりながら晃佑の体の上に唇を滑らせていく。 「……酔ってる知花、いいかも。キスは?知花」 晃佑の唇に顔をあげてキスをして。 ちゅうっとくっついたまま離してあげない。 ひたすら大好き。 ひたすらベタベタしたい気持ちばかり。 「…んっ、知花…。息できない…」 なんて晃佑に言われながら夢中でその唇食べていた。 誰か私を止めてほしい。
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