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目が覚めると隣に全裸の女が手首を縛られて転がっていた。
寝ぼけた目を擦ってみても、目を逸らしてもう一度見ても。
いる。
場所は間違いなく俺の部屋で、俺のベッド。
記憶が…ない。
女に声をかけた記憶も、女を連れ込んだ記憶もない。
ないけど、その女は確かにそこにいて、俺のベッドで眠っている。
目を閉じて、微かな寝息をこぼすその顔には朝の光が当たっていて。
白い柔らかそうな肌、長い睫毛、綺麗な鼻筋、小さな赤い唇。
髪は黒くて長く、柔らかにシーツの上に広がっている。
美人だ。
日本美人。
しかもその体…。
俺はその体を見て、慌てて布団をばさりとかけて隠した。
自分も裸だったことに気がついて、脱ぎ捨てられていた下着をはいておく。
見てはいけないものを見た気がする。
とてもナイスバディなものを見たような気がする。
気がする…のだけど。
まだ起きない女をまた見て、自分で隠しておきながら、そろっと布団をめくって、もう一度拝ませてもらおうとして。
女の寝返りにびくっとして、慌てて距離をとる。
これは…どう考えても、俺が酔っている間にどこかで引っ掛けて持って帰ってきたものだとは思う。
思うが、まったくもって記憶がない。
何がどうやって、こんないつもと違うタイプの、真面目そうなスタイルのいい美人をひっかけることができたのか。
自分に聞きたくなる。
いつもの酔った俺が持って帰ってくるものは、こんな美人なんかじゃない。
どこかの店先に置いている人形や看板をパクってきて、それを抱いて寝てる。
いや、もちろん窃盗だし、それらは夜中にこっそり戻しておくけど。
女を持って帰ってきたことなんてない。
俺はいったい、何をした?
……したんだろうなとは思う。
まだ寝てる女のそばにあぐらをかいて座り、その眠っている顔をひたすら眺める。
連れではない。
まったく知らない女。
けど…、……好みなんですけど?
焦りもありつつ、いいなと酔った俺に思いもしつつ。
もう一回…なんてあるかなと下心も芽生えつつ。
女は俺の目の前でゆっくりとその目を開けて、少し眩しそうに俺を見る。
濁りのない綺麗な目が俺の姿を捉える。
…美人だ。
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