Destiny(Kosuke↓all)

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憧れた…というか。 自然に目がそっちを見ていた…というか。 言葉をかわした記憶もないけど。 見ていた。 だから思い出せた。 そういうの他にいなかったし。 メガネかけている顔のほうが記憶にあって、最初はまったくわからなかったけど。 美人…とは、やっぱり思った。 たまに目が合えば、醜態、晒しまくっていたなと恥ずかしくも思いながら。 手に入れた杉浦の番号に電話をかける俺。 つきあってはいない。 返事はかわされた。 けど、メアドと電話番号はいただいた。 杉浦が戸惑っているのはわかったけど、次につきあうなら杉浦がいいって思って、俺はアピりまくり。 戸惑いはするけど、杉浦も一人暮らしらしくて、電話にはつきあってくれる。 会いたいと言っても、会ってくれないけど。 言葉をかわしたこともなかったのにと思うと、今の状態に少しにやける。 うれしい。 杉浦と電話をするのが楽しい。 癒される。 かわいい。 ……つきあいたい。 短い眠りを繰り返す。 体は仕事で疲れているはずなのに、浅いような眠りが多い。 これは夢だと思いながら、俺はそこにいて、目の前には…別れた女がいた。 俺の気も知らずに笑っていやがる。 「コウちゃんのこと大好きだけど、リュウちゃんのほうがいいなって思っちゃった。ごめんね?」 どれだけ軽い別れ話なのだろう? 最初からつきあっていなかったかもしれない。 俺にとっては…彼女つもりだったのだけど。 こいつも俺のまわりの女に嫉妬しまくりだったはずなのに。 なんだろう?これ。 「コウちゃん、別れても友達でいてね?リュウちゃんのこと、相談にのってね?」 何度、同じようなセリフを他の女に言われてきただろう? つきあった女はすべて別れの言葉に友達になろうと言う。 他の男に惚れている女を引き留める言葉なんて出るはずもなく。 俺は胸の真ん中に大きな空洞を空けられてフラれた。 そんな夢を見て目が覚めて。 まだ外が暗いのを見て、時間を見る。 3時間眠ったかどうかっていう時間。 フラれたのは杉浦と会う1週間前。 杉浦と会ったのは、フラれたやけ酒をした日だ。 枕元の携帯を手にして、杉浦に電話でもして癒されようかと思って。 やめておいた。 この時間じゃ寝てる。 ……会いたい。 その髪にふれたい。 甘えている。 わかってる。
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