Destiny(Kosuke↓all)

8/14
前へ
/606ページ
次へ
「コウって呼んで。…あ、やっぱコウスケで。俺もおまえのこと名前で呼ぼうか。名前、なんだっけ?チカって読むの?これ」 俺はまわりによく呼ばれているコウというあだ名じゃなく、名前そのもので呼んでもらうように望んで。 携帯の中の杉浦の名前を見る。 杉浦知花。 スギとしか名前にカナがない。 赤外線で送ってもらったのだが。 そういえば杉浦の連れは杉浦をスギとしか呼んでいなかったように思う。 俺もスギと呼んでもいいけど、微妙に色気が足りない。 連れにはなれている気がするけど、あわよくばを狙ってるのは変わらない。 彼女になってくれたときに、スギって呼ぶのが癖になっているのも、なんだかだ。 チカかトモカか迷う名前だと思う。 チカじゃないとは言われなかったから、合っていたのだろう。 チカ。…チカ。 そういえば隆太の元カノ、杉浦の連れが同じ名前だった気がする。 だから杉浦はスギと呼ばれていたのか? 『あの、もう…いいです。電話、毎日のようにしないでください。電話代かかります』 更に仲良くなってやろうとがんばっているというのに。 狙いまくっているというのに。 迷惑と言うわけじゃなく、電話代という理由をいただいた。 なんとなく思う。 少し着目点ずれてるよな?と。 狙わないでくださいと言われるよりはマシということにしておこう。 「なんで敬語?電話代なんてどうでもいいし。…ちーか。ちかちゃん。遊ぼう?」 今日こそは誘い出してやる勢いだ。 杉浦が俺の部屋にいたのが、もう2週間以上前の話になってきている。 『紫苑くんの…』 「晃佑」 『晃佑くんの…』 「敬称略で」 『晃佑…』 杉浦の声でその名前を呼ばれて俺は笑顔になる。 よしっ。 と、どこかガッツポーズ。 「そう。俺のなに?」 『女友達に睨まれたくないです』 思ってもみないことを言われた。 そんな連れいたかなぁとも思う。 「そんなのおまえも俺の連れなんだから連れになればいいだろ?」 俺は当たり前のことのように言ってやる。 モテるほうだとは思うけれど、連れの女全部が俺に興味あるわけでもない。 彼女いない歴1ヶ月になるところなのに、俺はコクられてもいない。 あ。一人いるけど。 それは別として。
/606ページ

最初のコメントを投稿しよう!

584人が本棚に入れています
本棚に追加