Destiny(Kosuke↓all)

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思えば彼女のいない期間は短かった気がする。 連れだけは多くて、出会いはいつもどこかにあって。 フラれたの?慰めてあげようか?みたいな軽いノリからつきあうことも多々ありで。 俺も早く忘れてしまいたくて、誰でもいいからつきあったかもしれない。 電話を終えてから連れのところへと戻ると、さっきの女が話を広めまくってくれていて、俺は話のネタにされていた。 「落とせた?」 「まだ」 俺は答えながら、バーカウンターのほうへ向かって酒を注文。 「じゃあ…、今日、コウの家に泊まりたいな」 なんて女は俺の服を掴んで、意味深に言ってくれる。 「なにそれ?添い寝してやるってこと?」 俺がチカにかけた言葉、家にきてって意味は、添い寝してくれってことだったりする。 寝ますと言ってる相手にセックスを誘ってはいない。 というか、俺にチカとした記憶もないから、手を出すのは躊躇う。 チカはそんな軽い女でもないような気がするから。 何をどうやってチカみたいな女を家に連れ込めたのか。 酔った俺に本気で聞きたい。 「コウとえっちしたい」 女は少し恥ずかしそうに誘ってくれて、俺は口にしかけた酒を吹きそうになった。 いや、そういう欲求が溜まってきていないわけでもないけど。 「おまえ、それ、軽すぎだろ。俺に惚れてるわけでもないのに」 「惚れてる」 これは告白? いつもなら、じゃあ、つきあってみる?で女を連れて帰るのだけど。 俺はチカのその背中を思い出して、そんなことしていたら本気で嫌われそうに思う。 チカに似合うような男になって認められたいって思う。 認めてくれていないから、脈がなさすぎるのだと思うし。 しかも、ここでつきあうことにしても、どうせまた1週間程度でフラれる繰り返し。 惚れてるって言うくせに…、好きだと言うくせに、それは一時のもの。 俺に抱かれたいって思ってくれているのはわかるけど。 一度だけでいい…みたいなつまらない男なんだろうと自分を思う。 相手は誘ってくるくせに、いつもつきあう気持ちもない。 「俺を落とそうともしてないだろ?おまえ。遊びたいだけなら他にいけば?」 「…ちょっとびっくり。コウにフラれるなんて思ってなかった」 「別に振ってない」 「そう?今のでアヤとつきあったって聞いたけど」 同じパターンを使うなと言いたい。
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