Destiny(Kosuke↓all)

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「なぁ?俺ってなんなの?おまえらの共有の玩具?」 俺は思わず本音でその言葉を溢して、女は俺に悪いとでも思ったのか、さっきまでの表情も消えて俯いた。 本当に玩具みたいな軽いものなのだろう。 都合よく、女の体を慰めるセックスマシーンとでも思われているのか。 俺の感情なんて求められていないのだろう。 「黙らずに否定してくれればいいのに。ま、気にすんな」 俺は女の肩をぽんっと軽く叩いて、見かけた他の連れに声をかけにいこうとして。 女は俺の腕を掴んだ。 「ごめん。コウが…私を玩具にしていいよ?」 振り返るとそんなことを言われて、俺は苦笑いで女の頭を撫でる。 「俺、そういう男じゃないって。なんかあったのか?話ならつきあってやるから」 優しく言ってやると、女は泣き出して、俺に甘えて抱きついてきて。 俺は女をあやすように頭を撫でて慰めてやる。 女は俺に失恋を泣きながら話して、それを聞いて次があると前向きになってもらって夜が明ける。 俺も失恋したんだけど…なんて話をすることもなく、ひたすら話を聞いてやっただけ。 俺は一人になると溜め息をついて。 眠くもないし、そのまま気分を晴らすように隆太がバイトしているプールバーへと向かう。 もう閉店時間だけど。 気にしてやらない。 「気にしろ」 隆太は思いきり帰る間際だったようで、俺を見ると不機嫌に言ってくれる。 「まぁ、そう言わずに。昼の開店までそこのソファーで寝ていていいから」 俺は勝手知ったる行き着けの店で、俺のマイキューを棚から取り出して、使いやすい台を選んでビリヤード。 「おまえな…。俺は雇われてるんだよっ。バイトが知り合いにタダで店を貸せるかっ」 「ここの店長なら大丈夫。ビリヤード勝負で俺に借金あるから」 「金賭けんな。…そんなにビリヤード好きなら、おまえもハスラーなれば?おまえならなれるだろ」 「たかーいところも好き。建設途中のビルの足場から見る景色はいいもんだ」 「高所恐怖症で足が震えそう。なに飲む?」 「ジンジャーエール」 俺は注文をして、隆太は店員らしく働いてくれる。 タップにチョークを塗りつけると、キューの後方を握って、狙いを定めて。 突き出したキューは手玉を勢いよく転がし、大きな音を響かせて組まれた玉をブレイクさせる。 その音がストレス発散のように思える。
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