Destiny(Kosuke↓all)

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「それで?新しい彼女は?」 隆太は俺の近くの机に注文の品を持ってきて、その近くの椅子に座ると煙草を手にする。 元カノが言ったリュウちゃんが隆太だ。 俺はこいつに女を奪われたことになると思っている。 隆太は違うと言い張るけど。 「いない。おまえは?ミクと仲良くしてんの?」 俺はその元カノの名前を出して聞いてやる。 「あぁ…、振った」 なんて思い出したように言われて、俺はキューを振るのをやめて隆太のほうを見る。 隆太はカチッと音を響かせてライターをつけ、煙草に火がつくと、その煙を吐き出す。 ミクの応援を…してやるべきなのか謎だ。 「そのうちまた、おまえに戻りたいとでも言い出しそうだよな。恋に恋する女というか、恋をしている自分が大好きな女というか」 「つまり?」 「誰でもいい尻軽。おまえには似合わないと思うけど、戻りたいなら戻れば?」 「俺に似合わないってなに?つか、その前にフラれたのは俺だろ?なんで俺に決定権があるみたいに言う?あと、おまえが奪っておきながら振るのはやめろ」 「……だから尻軽だって。ヤったのは認める。けど奪ってない。何度も言わせるな。ついでにキレ気味になるな。追い出すぞ」 俺は言葉に詰まる。 ビリヤードしにきたのに追い出されるのは…。 それに…確かにキレることではないかも…しれない。 もう別れた女だ。 それでも…フラれて喜ぶ俺はいないし、キレて当たり前のような気がする。 複雑。 俺はジンジャーエールのグラスを手にして、それに口をつける。 「で?新しい彼女」 「おまえ、手出すから教えたくない」 「なに?候補いる?」 俺の中にはチカの姿が浮かんだ。 ……言いたくない。 「おまえ、そうやって俺の女に手を出すのはいい加減やめろ。おまえの女を奪ったことは謝っただろっ?」 「いや、それどうでもいいし。というか、おまえ、その女にも1週間でフラれたよな」 俺はぐっさり突き刺されて、その場に屈んでいじける。 どうせ…、どうせっ。 3ヶ月つきあえれば奇跡のようなもので、半年ももったことねぇよっ。 どうせつまらない男だよっ。 「フラれ虫。陰気臭くいじけるのはやめろ。そのうち出会えるって。本当の運命の人ってやつに」 俺の女を奪う男に言われたくはないと思う。
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