Dainty girl

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運命の人なんて、どうやって見つけるんだろう? 星の数ほど男も女もいて。 出会うことなんて稀のような気がする。 土曜の夜、いつものようにチカに電話をしている俺がいた。 もう日課だと思う。 あれだけ気のない顔を見せられていて、何気に根性あるな、俺と自分を誉めてやりたい。 チカのバイトが終わる時間も把握済み。 ただ家やバイト先は知らないまま。 俺にストーカーされるとでも警戒してくれているのかもしれない。 このままひたすら会うのを拒否られていたら、ストーカーまがいにバイト先にいきそうな気はする。 本気で好みの顔のはずなのに、その顔が朧気にしか思い出せないのが悲しい。 後ろ姿はよく覚えている。 高校の頃、よく見ていたから。 背筋の綺麗な姿勢のいい美人だ。 ある意味、かっこいい。 …やっぱり憧れというのだろうか?これは。 まだ食べていないというチカに飯にいこうと誘いまくると、了承がくだった。 思いがけない返事に俺のほうが慌てた。 会える。会いたい。 待ち合わせ場所を決めて、時間を決めて。 俺は電話を切ると、いつもの仲間といた店を飛び出そうとして…捕まった。 「コウ、帰るなよぉ」 「なに?女とデートなの?私とデートしろ。そして奢れ」 この酔っ払いどもを気絶させてもいいだろうか? こっちは急いでるんだっ。 絡まれまくりながら、なんとか抜け出して。 走った。 大きな交差点の信号待ちにイラつきながら、青になるとスタートダッシュ。 必死になっているけど。 いつものかわすための嘘だったらどうしようというものはある。 いって待ちぼうけさせられるだけさせられそうにも思う。 最後の信号待ち。 待ち合わせ場所はこの信号を渡って少しいったところにある。 青になって横断歩道を走って渡りながら、ふとあたりを見回すと、あの背中が見えた。 俺は迷わずその背中を追って、その腕を捕まえた。 チカは俺を振り返り、その顔をあげて俺を見て。 俺の中で薄くなってきていたその顔をはっきりと目の前に見れて、会えてうれしくて、思わず笑みがこぼれる。
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