Dainty girl

4/14

584人が本棚に入れています
本棚に追加
/606ページ
「…チカって高校の頃、メガネだったよな?コンタクト?」 「裸眼です。…授業中だけメガネ」 ……覚えていない。 なぜか思い出すのは、授業中に振り返ったその顔。 目が合った。 たぶん初めてチカと目が合ったのだと思う。 髪、綺麗だなと、授業そっちのけで、ぼんやり眺めていた記憶。 サラサラしていて柔らかそうで、ずっとふれてみたかった。 声をかけることもしていないけど。 ……なんとなく照れて。 引かれて避けられたくもなかったし。 今は…俺から声をかけまくりだなと思う。 引かれている気がするけど気にしてやらない。 そこは高校の頃と変わった俺だと思う。 「…メガネかけてる印象強いかも」 俺はまたチカの顔を眺める。 チカは俺の視線から逃れるように目を逸らしてくれる。 「話したこともありません」 「ないよな。だからあの日、目が覚めたらなんで杉浦サン…、チカがいたのかがすごく謎だった」 俺は高校の頃のまま、杉浦サンと呼んでしまって言い直す。 高校時代に意識がトリップしたかと思われる。 「私も謎です」 「じゃなくて。どういう状況でそうなった?」 俺は改めて、その話を聞き出そうと試みる。 こんなノリが軽いわけでもないチカをよく持ち帰れたと本気で思う。 「…髪を引っ張られて」 なんで髪を引っ張ったんだ?俺。 そしてそこから持ち帰れた理由には俺の頭では繋がらない。 「…意味わからん。どこまでの合意の上でのセックス?」 チカは縛られていた。 そこをちゃんと聞いておかないといけない。 「全部合意です。だからもう電話もしないでください」 チカはそう答えてくれて、強姦ではなかったことに心底、安心した。 が、合意なのになぜか拒否られている。 「なんで?チカ、かわいいし。また遊ぼう?」 「私は遊べる女じゃありません」 誰もそんなの望んじゃいない。 連れとしての遊びじゃなく、言葉の意味を違うカタチにとられているのなら…。 「つきあう?」 「遠慮します」 即答拒否をいただいた。 さっくりやられた。 そう簡単じゃないのは思い知ってるようなものだけどっ。 遠慮する意味がわからないっ。 「って、合意したのは少なからず俺に興味があったからだろ?なんでつきあうことを遠慮されるの?しかも即答。却下や断る言葉はいつも即答」 俺は謎を追求するように聞いてやる。 俺はつきあいたいから、つきあう?って聞いているのに。 いやではなく、遠慮。
/606ページ

最初のコメントを投稿しよう!

584人が本棚に入れています
本棚に追加