Dainty girl

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「私は遊べる女じゃないって言ったじゃないですか」 「遊びの女は遊びの女。つきあった女は彼女」 俺は弄ぶつもりでつきあう?なんて言わない。 チカにそういう男に見られているような気がする。 かなり不満だ。 なんでこう、俺は軽く見られるのか。 軽く見られているから、つきあった女の最後の言葉は、全部、友達なのか。 なんて思っていたところで。 「…友達で」 チカは静かにそう言ってくれた。 俺が…耳にしたくもない言葉になっているかもしれない。 だから俺は友達という言葉を言い換えるのだろう。 「もう連れだし」 と。 会ったはいいけれど。 あの日の真相みたいなことを少しは聞けたはいいけれど。 相変わらず拒否られまくり。 ガードがかたいというか、隙がないというか。 俺に対しての好意のカケラも見えない。 手強すぎる相手を狙っているなと改めて思わされる。 個室ではチカに警戒されそうだったし、間仕切りの高い店を選んだのだけど。 デート中にも関わらず、俺を見つけて声をかけてくる連れが多数。 なんかグループできているらしく、入れ替わり立ち替わり声をかけられて、チカを少し放置してしまった。 チカは人見知りでもするのか、声をかけられても遠慮しますという態度を見せるだけで。 チカが席を立った気配がして、俺は慌ててその手を掴む。 逃げられそうな気がした。 「どこいくの?」 「…お手洗いに」 その答えにかなり安心した。 「帰るときは言えよ?デートなんだし」 チカはこくんと頷いてくれて、俺はその手を離す。 デートと認めてくれているのか? そう思うと微妙にうれしい。 喜んだ俺に水をさすかのように、 「コウ。お相手、かなりの美人だけど、おまえには高望みっぽくない?」 なんて話していた男に言われる。 「ひどっ。本気、狙ってるのにっ」 「無理だろ。おまえには軽いギャルが似合ってるって。今までつきあったの、そういうのばっかだろ?」 ひどすぎる…。 確かに…俺が手を出したことのない、まわりにいないタイプではあるけど。 「それ以上言うな」 俺はやけになって酒を煽るように飲みまくって。 …そのあとの記憶がない。
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