Still

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好きと言えば言うほど、どこか自己暗示でもかけてしまっているかのように思う。 晃佑が聞くから、何度も好きと言葉にして。 感じさせられて声を漏らす。 「…嫌い」 言ったら、晃佑は膨れて私を見る。 嫌い…。 好きと嫌いは一緒のような気がする。 好きで嫌い。 私は泣くくらいに虐められた。 逃げられないように私の腕はまた縛られた。 声をあげすぎて。 今度は口に布を噛まされた。 犯されている。 強姦だ。 でもこうなるとわかっていて、引っ張られてきたのは私だ。 晃佑は存分に私の体を虐めまくってイッて満足して。 私の体にキスをたくさんして、抱き枕にしてそのまま眠る。 腕をほどくことも、口の布をはずしてくれることもなく。 でも晃佑の腕は私の体を大切そうにくるむ。 私の頭に頬をよせて幸せそうに気持ちよさそうに眠る。 私はこの人がよくわからない。 目が覚めると朝だった。 下着だけの晃佑が私を見ている。 晃佑は私の口を被う布をはずした。 「……記憶にないんだけど」 晃佑は私の顔をじっと見て言う。 「……きっと私が一人で縛って転がった…」 「そんなわけないっ!…ってか、俺、酔ってもこんなSMプレイしたことないと思うんだけどっ?」 「だから私が自分で…」 「チカ、それ、なんの慰めにもなってない。……俺、なにしたっ?」 晃佑は前回よりも焦っているようだ。 「何もしてない」 「そんなわけないって言ってんだろっ」 腕を縛られて。 口を塞がれて。 次は殺されるだろうか。 起き上がろうにも腕を後ろ手に縛られていて動けない。 「…これ、ほどいてください」 「……おまえと会うとき飲むのやめる」 晃佑はどこか落ち込んだように口にして、私の腕を縛る紐をほどいてくれる。 ほどけたと思ったら、私は晃佑に抱き寄せられた。 「…違うセックスしてみる気ない?」 「また奥にいっぱいされたからお腹痛い」 お腹というか、これは子宮だと思う。 生理痛のような下腹部の痛み。 「奥にはしないからっ。なっ?」 晃佑は私の顔を覗き込むように見てくる。 「二度と…会わないほうがいいって思わない?」 「……俺はおまえとした記憶が欲しい」 「してない」 「してないのに子宮口突かれるわけないだろっ」 「妄想」 「ないっ。嘘はもういいからっ」
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