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「……きっと私が一人で縛って転がった…」
「そんなわけないっ!…ってか、俺、酔ってもこんなSMプレイしたことないと思うんだけどっ?」
俺はチカのあからさまな嘘を遮るように声をあげてやる。
何をどうやったら一人でそんなプレイができると言うのか。
「だから私が自分で…」
「チカ、それ、なんの慰めにもなってない。……俺、なにしたっ?」
「何もしてない」
「そんなわけないって言ってんだろっ」
俺はちょっとキレ気味になる。
犯された、強姦された、無理矢理されたくらい言ってくれればいい。
言わないってことは…、また同意なのだろうけど。
俺の知らない間があって、俺が何をしていたのかわからないなんて、俺は二重人格か単発記憶喪失を繰り返す、脳に何か以上のある人間なのかもしれない。
そうでなければ、あまりにも何か情けない気がする。
チカにいいところを見せて惚れられたいというのに、俺は酔っている間に、とんでもない醜態を晒しているのかもしれない。
チカとこんなことがあるまで、酔っている間の記憶がなくても不安になったりはしなかったけど。
今はかなり不安だ。
「…これ、ほどいてください」
チカは体をくねらせていたかと思うとうつ伏せになって。
めくれた布団の中、チカの腕は後ろ手にかたく縛られていた。
「……おまえと会うとき飲むのやめる」
俺は溜め息をつくように言って、その腕を縛る紐をほどいていく。
目の前にはチカの素肌の背中。
当たり前のように全裸。
…目の前に転がるだけの獲物。
俺だって…したいっ!
いや、したかもしれないけど、記憶のないものをしたとは言わないっ!
俺は紐をほどくと、思い切ってその背中からチカの体に腕を回した。
俺の素肌にふれるチカの素肌。
素肌に感じるチカの体温。
柔らかくて滑らかな肌。
「…違うセックスしてみる気ない?」
その耳元へ誘うように囁きかけてやる。
ふれているだけで…、その先を望む本能が興奮を掻き立てる。
軽くその肌を撫でるように手を動かすと、これが欲しいと腰が疼く。
片腕はチカの体に体重をかけすぎないように、チカの脇において。
片腕でその体をもっと近くにと寄せるように引き寄せる。
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