Dainty girl

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俺とチカは膠着状態。 互いに何も言わない、動かない。 「お腹すいた。いこうよ、コウ。もう放っておきなって。嫌がってるんだし」 トモは空気を読むこともなく、俺に声をかけてくる。 トモを飯に誘ったのは俺だ。 まさかこんなことになるとは思っていなかった。 今の状態に参る。 チカとのデートのための口実昼飯だったというのに。 「トモ、急かすなよ」 「だってー。もういこうよっ。ランチタイム終わっちゃう」 トモは俺の腕に抱きついて引っ張ってきて。 何がなんでも連れていくといった感じで。 今更断れそうにない。 チカは黙って俯いたままだし…。 俺に折れる様子も見せてくれない。 「…チカ、また電話する。その服も靴もおまえにやったものだし返さなくていいから」 俺は溜め息をついてしまいたい気持ちでチカに言葉を残して、トモに腕を引っ張られて引きずられた。 飯を食って、トモにそのままつきあわされる前に用事があると言ってトモから逃れて。 ごめんって俺が折れる謝罪の電話をチカに入れた。 けど。 出ない。 嫌な予感がしまくりながらも、電話をかけ直しまくった。 出ない。 ま、………マジで? 俺はメールで謝りまくって、電話をかけまくった。 出ない………。 俺はひどく落ち込む。 せっかく…、せっかく……ここまできたのに…っ。 あと一押し強引にいけば、もしかしたらつきあうくらいはできたかもしれないのに…っ。 悔やんでも遅い。 喧嘩の種をつくったのは俺で、チカをおいていったのは俺だ。 本気、泣きそう。 もう諦めろってこと? …いや、無理。 そんなの無理。 俺がいくら無理だと思っても、チカは俺の電話にふれてもくれない。 俺はすべてのストレスを発散させるかのように、隆太のバイト先でキューを振りまくる。 頭の中にはチカのことばかりで、まったくもって集中できずに、コースを見誤ってはずしまくって。 更にストレスが積み重なる。 「ラシャ傷つけんなよ。で?どした?女?またフラれたのか?」 隆太は何も知らずに聞いてくれて、俺は本気で凹んでその場にしゃがみこんだ。 フラれ…。 つきあってもいないのに、こんなフラれ方は嫌だっ! ……泣く。 ごめん。 もう一回…。 会いたい。 チカに言いたいのはそれだけ。 その電話にも出てくれない。
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