Dog house

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繰り返した。 チカの機嫌を損ねて、電話にも出てくれない期間と、抱き枕になって隣で眠ってくれる期間。 高校以来に再会したのは春で、季節は巡って夏になる。 真夏。 繰り返しているだけで何も変わらないけど、チカの敬語はなくなって、たまには笑ってくれる。 チカと会えば、チカが俺の家に泊まることも普通になってる。 学生で夏休みのあるチカを毎日のように呼び出しているのは俺だ。 当たり前のように泊まるよな?と言っているのは俺だ。 チカの家に俺がいってもいいけど、チカはその家を俺に教えてくれない。 喧嘩して離れたときに電話をかけまくる俺のストーカーじみた行為が悪いのかもしれないけど。 いないと淋しい。 眠ったままのチカをベッドに残して仕事にいって。 鍵を置いて出なかったから、チカは俺の家で俺が帰るまで待機中。 もう同棲でもしてくれればいいように思う。 喧嘩したときだけチカの家に戻ればいいと思う。 電話かけまくって呼び戻すけど。 「紫苑、飲みにいくか?女友達引っ張ってきてビアガーデン」 現場の仕事を終えて、一度社に戻って、さて帰ろうとしたとき。 先輩社員は俺を連れ去る気満々のように、俺の肩を抱いて誘ってくれる。 とゆうか女を紹介しろとのことだろう。 俺の連れは多い。 よくあること。 「すみません。彼女が家で待ってるので」 彼女ではないと思うけど。 チカに他の男もいないし、もう彼女でいいと思う。 セックスはしていないけど。 …拒否られるから。 つまり、誘ってみてはいる。 同じベッドで寝てくれるし、そういう気分のときだってあるっ。 ただ、添い寝もしてくれなくなりそうで、無理矢理襲うことなんてできるはずもない。 胸くらいはさわらせてもらうけど。 3ヶ月以上、セックスしていないのは俺にとってめずらしいことのような気がする。 というか、3ヶ月も彼女がいなかったことがない。 1週間から1ヶ月あれば次の彼女はできていた。 ……セフレみたいな関係を正当化するために彼女にしていた…のかもしれない。 始まりはどれも軽い。 終わりも軽い。 俺が軽い男だからだろう。 だから別れの言葉も軽く言われる。 ……惚れるなんて…わからない。 俺は先輩社員にイヤミか冷やかしかのような言葉をいただいて、また今度埋め合わせると言って。 まっすぐに家に帰る。 そこにチカがいるから。
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