Dog house

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「……つきあってみる?」 不意にチカはそう言った。 …空耳? 俺は自分の耳を疑う。 「…今、めずらしい言葉が聞こえた気がする」 「……じゃあ、つきあわない」 「というか、つきあっていてもいなくても同じだろ?…つきあったからセックスするとか言ってくれる?」 つきあっていなくても、チカはここにいる。 他の男とつきあうこともなく、俺が望むままにいてくれる。 彼女と呼ぶかどうかの違いしか俺には思えなかったりする。 つきあうことの意味がわからない。 つきあって俺が何をチカにできるのかもわからない。 チカが俺に何かを求めてくれるのだろうか? また…別れ話を女から切り出されるのなら、このままでいいようにも思う。 物足りなくは…あるけど。 つきあったという言葉だけで、チカのあり方が変わるなんて思えないし。 チカは俺を振り返り、何を言うのかと思えば、俺の唇にキスをしてきた。 軽くふれたそれは、俺にとってはチカとの初めてのキスだ。 「…する?」 チカは俺をまっすぐに見て言ってくれる。 俺はたぶん赤くなった。 いきなり積極的になりやがった。 「誘っておいて逃げるのなしだぞ?」 逃げそうな気がして言ってみると、チカはこくんと頷く。 いきなりすぎて少しついていけない俺がいる。 でもこのチャンスを逃したくないと思う俺がいる。 どこか緊張してしまいながら、俺はチカの頬に手を当てて、その顔を少し上に向けさせて。 俺から初めてのキス。 したことあるかもしれないけれど、俺には記憶がないから、これが初めてのキス。 チカは逃げる様子も抵抗もなく俺を受け止めて。 俺は目を閉じて、チカをそこに押し倒して、キスをひたすら続けた。 唇を舐めて、舌を舐めて。 チカの唇から吐息が溢れる。 その呼吸に、その唇に、緊張してしまいながらも、俺が求めるままにその首筋を胸を服を脱がせながら舐めていく。 チカが小さな声をあげると、どんどん興奮してきて。 気がつくと夢中になっていた。 綺麗な体。 敏感な体。 甘く喘ぐその声。 恥ずかしげに軽く抵抗した足を抱えて大きく足を開かせて。 服を脱ぎ捨てながら、ひたすら感じさせる。
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