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俺は別にチカに俺の好みに合わせてもらいたいとは思わない。
思わないのに、なぜかチカはどんどん変わっていく。
メイク濃くなって。
髪も明るくなって。
似合うけど…、黒髪にすっぴん近いチカのほうがいい。
明るい髪の色にはなったけど、その髪の柔らかさとキューティクルはまだまだ生きてくれていて、俺はその髪に顔を埋める。
チカがどんどんギャル系になっていくのが淋しい。
「なぁ、チカ?髪、黒に戻す気ないか?」
「学校始まったら黒染めしなきゃ。昂祐が私を地味だって言わなかった?」
言ったような記憶はある。
けどギャル系はまわりに多くて見飽きたからいらない。
チカを変えるなら、セクシーで女らしいものがいい。
短いスカートもいいけど、タイトロングのスカートやドレープのトップスとか。
同じキャミソールを着るなら、シンプルなのにデザインに凝ったものとか。
お姉様なチカにしたいように思う。
悪ガキくさいのは却下。
俺はチカが着ているものをさっさと脱がせてやる。
「…するの?」
「したい?」
聞き返してみると、チカは何も言わずに俺から目を逸らす。
…どうしたいのか、何をしたいのか、そういうことを話してくれればいいのに。
チカは自分の意見をあまり俺に見せようとはしない。
それは俺に気を許していないからなのか。
それともそういうものがカケラもないのか。
…俺には言いたくもないことなのか。
本音を語られてみたい。
嘘も偽りもなく。
俺はチカを下着姿にまでして、その体を抱いて転がる。
「しない。抱いて転がるだけ」
言いながら、その胸の膨らみに手を這わせて、その肩にキスをして。
チカの体が感じたかのように揺れる。
「えっち…」
そう言うだけで俺を止めたりしない。
拒否してくれてもいいし、嫌がってくれてもいい。
おとなしく、されているだけになるくらいなら。
胸にふれるのをやめて、両腕でチカの体をぎゅっと抱きしめる。
何も変わらないほうが慣れているかもしれない。
変わらなくていい。
おまえがおまえのままでいれば。
勘違いでも受けてくれそうで言えない。
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