Difference

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求めてくれたのなら応えるのに、チカは俺に何も求めない。 求めないから、俺ばかりが求めて、なんか一人空回りのようになっていることもある。 そういえばと思い出すのは過去のつきあい。 片思いをしたことがない気がする、その理由。 求められることばかりだった。 俺が甘えるより、甘えられてばかりだった。 だから…俺が甘えられなかったのもあるけど。 求められることを望むのは、その過去のせいだろうか? 空回りは虚しくて、やめたくなるのに、また求めてばかりになって空回る。 俺はどこまで求めてもいいのだろう? どこまでふれてもいいのだろう? すべて許されても、なぜかあまりうれしくない。 俺はいつもチカの本音と向き合っていたい。 「かわいい。…けど、おまえ、それ、また露出しすぎじゃないか?」 俺はチカの手をひいて繁華街を歩きながら、もう何度目になるかわからないことを言っている。 やっぱり俺は俺の好みにチカを合わせたいのかもしれない。 元のチカでいいと。 そんな服を着るならと、また全部脱がせてしまいたい。 胸の谷間を見せるな。 パンツ見えそうなスカートはくな。 俺の彼女だと思うと、余計にそう思う。 つまりは嫉妬だ。 チカを見る男の視線がいやだ。 その視線を隣で感じるのがいやだ。 なんでこいつはこんなに無防備なのかと思う。 俺とつきあって、どんどん無防備になってしまっている気がする。 前はもっとかたくて、絶対に落とせないと思わせる雰囲気だったのに。 腹が見えるような服を着るなと言いたい。 「少しは腹筋つけたほうがいいのかな」 なんてチカは俺の言いたいことなんて何もわからずに、その腹を撫でる。 腹筋なんてつけなくても、チカは今のままでじゅうぶんスタイルがいい。 姿勢も綺麗だし、本当に何を着ても似合う。 モデルにもチカならなれると思う。 思うから、もういいだろと思う。 街を歩くと連れに見つかって声をかけられ立ち止まる。 チカは相変わらず人見知りで。 つまらなさそうにしてくれて。 少しだけどこかに座って待っててくれと、その手を離す。 「コウ、彼女、かわいすぎない?まーたフラレるよ?」 チカが離れると、話し相手だった女は言ってくれて。 俺はそれを考えて落ち込む。 だろうなと思う。 「彼女とだけ話しておくから、デート中に声かけてくんな」 「そういえば嫉妬してくれなかったね」 凹む。
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