Dual

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きっとこんなに傷つくのは、おまえが言うからなんだろう。 おまえに軽い男だと見られて、おまえに疑われて。 おまえに責められるからなんだろう。 おまえじゃない女に言われても、ここまで傷つきはしないだろう。 俺は……、俺が、おまえが、思うよりも。 おまえを愛してる。 「誰かに何か聞いた?」 『何も。晃佑の知り合いはよくわからない』 そうだよな。 おまえは俺の連れすべてを嫌がるから。 今まで隆太とくらいしか話してもいないだろう。 なら、嘘はつき放題だ。 「セフレでもつくろうかと思ってる」 俺は最後の賭けとして、そんな嘘をついてみた。 俺を知ってるやつなら、俺がセフレなんてつくらないことをよく知っている。 チカにも言ったことがあるはずだ。 もう忘れているかもしれないけど。 それが自分を正当化する行為にしかならなくても。 セフレなんてつくったことは一度もないし、誘われても断る。 俺とセックスしたいのならつきあいやがれと、俺は女に求めるから。 『セフレじゃなくていいんじゃない?彼女にしちゃえば?』 チカは少し怒った声で俺にそう告げた。 わかってはいたけど。 簡単に手離そうとしてくれるよなと思う。 なぁ?どうして俺とつきあった? おまえは俺に何を求めていた? ……ただ俺に流されていただけとは言われたくもない。 「……彼女はおまえ。それ以外いらない」 『意味わからない』 「…もっと俺を縛れ。そんなものつくるな、浮気すんなって言え」 『言ったら?晃佑は私だけのものになるの?知り合いに声をかけられたら?無視するの? ……しないくせに言わないで。そういう脅しみたいなのはやめてって前にも言ったっ!』 チカは感情的に声を荒くして叫ぶように声をあげる。 おまえだけのものにしたいの? 連れに声をかけられたら無視して欲しいの? ……できるよ。 おまえだけのものになって、おまえだけにしか反応しないように。 だけど、おまえは俺を信じない。 できないと何も言わずに最初から決めつけていて。 きっと俺が何を言っても、今のおまえには届かないだろう。 俺は…おまえに愛されたかった。 空回りしてばかりで…、かっこつかなくて。 傷つけて… ごめん。
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