Drug

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オーナーというすぐ近くに俺より大人のしっかりした男がいてくれて。 俺は少し落ち着いた。 一人じゃないというのは心強い。 今は先のことは考えずに目先のことを考えないといけない。 そう。警察。 けど、警察に垂れ込めば、あれこれ聞かれるだろう。 事情を説明するのももどかしい。 すぐに動いてくれそうな松田さんに電話をした。 忙しいのか忙しくないのか。 こんな夜も更けた時間なのに松田さんは俺の電話に出た。 『誰だ?』 と。 「立呑屋で知り合った紫苑って者ですが。オッサン、今からドラッグパーティーに招待するから、その場にいる奴を全員逃さずに捕まえられるか?」 『あぁ。あの兄ちゃんか。なんとかしてみるか。で、場所は?』 話が早くて助かる。 俺はカズの家を教えて。 先にいって時間稼ぎはするからと何人いるかは不明だけど全員逮捕を頼んで。 オーナーにバイクを出してもらって、カズの家に向かった。 「おまえ一人で大丈夫なのか?」 オーナーはそんな心配をしてくれる。 「下手に逃げられても困るし。松田さんっていうGメンが警察連れてきてくれると思うから、オーナー、ここで警察っぽいの見たら声かけて」 俺は被っていたメットをオーナーに渡す。 「喧嘩になったりしないか?相手、ヤクザなんだろ?」 「カズだけ。あとはチンピラにもならない下っ端。クスリで頭イカれてるから喧嘩になっても大丈夫だろ。警察くる前に悪そうな若者見かけたら引き留めておいて」 「…人使い荒いな。何人か呼ぶか?」 「オーナーも人使い荒いんじゃないか?人集めは巻き込むことになるからほどほどで。じゃ、いってくる」 俺はオーナーの腕に腕をぶつけて、一人でそのカズの家に向かう。 カズの家は溜まり場みたいになっていて。 クスリをやる場所になっている。 場所は知っている。 部屋もわかる。 クスリをやっていなければ、それに関わっていなければ、カズもオーナーみたいないい兄貴分だった。 嫌いじゃなかった。 憎むこともなかった。 今は…そこにいる全員を憎める。 俺はチカにフラれたけど、憎んではいないし、フラれて悔しいとは思わない。 惚れた女を犯した奴らが憎い。 警察に捕まる前に殺してしまいたいと思うほど。
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