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…つきあうつもりだった。
トモがクスリを半年やめられたら。
半年待ってやるつもりだった。
つきあっているのと、そう変わらない今の距離で。
裏切られたような気持ちになっているのは俺だ。
悔しいのかなんなのかわからない。
「おまえは何をしたかった?チカを強姦させて、それを知ったら俺がどうすると思った?
…俺は俺を振った女を憎く思ったりはしない。フラれるのは俺に非があるからだとわかってる。
……なぁ?俺はもうチカと別れて2ヶ月以上たってる。そんな俺の元カノに嫉妬でもした?連絡してもいない、会ってもいない女だったのに」
何を言ってもトモは何も反応しなくて。
またその顔をあげさせようと近づくと、立ち上がってベランダの手すりをのぼる。
ここは高層階。
落ちれば確実、あの世逝き。
俺はトモの腰に腕を回して強く引いた。
「離してっ!もういやっ!コウに嫌われたら、もう生きていけないっ!」
泣きながら何か叫んでくれる。
トモの俺への依存はわかってる。
生きていけないと本気で言ってる。
トモはベランダにしがみついて、そこを乗り越えようとしていて。
どこにそんな力があるのか、俺の制止の腕を振り払おうと不安定な態勢でもがく。
絶対に離すことはできなかった。
誰かこいつを止めてくれと部屋の中の奴らに助力を求めたいところではあるけど。
どいつもこいつもイカれている。
唯一まともかと思えるやつはバッドトリップでもしたかのように沈み込んでいる。
外にたくさんの車のエンジン音が聞こえた。
この時間にそれは、どう考えても不自然で。
やっと警察がきたらしいのがわかる。
「離してっ!」
「誰が離すかよっ!」
俺はベランダの手すりを蹴って。
本当にかなり無理矢理にトモの体をベランダの手すりから引き離した。
俺は後ろへと思いきり転んで頭をぶつけて。
ものすごく痛みを感じながら、トモを押さえつけるようにその体の上に跨がって頬を平手で叩いた。
「目、覚ませっ!逃げていないで目の前見ろっ。ラリったままなら、今度は頭から水、ぶっかけんぞ。俺を見ろっ!」
大声で言ってやると、トモはかたく閉じた目を開けて、俺の顔をまっすぐに見上げて。
声をあげて泣いた。
もっと叩いて蹴っても構わないことをしたと思う。
思うけど…、俺は甘い。
……一度でも、気まぐれにでも、惚れてくれた女には甘い。
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