Days

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チカがここにいる理由を考えれば喜べるものはない。 よくわかっている。 わかってはいても、やっぱりうれしい。 ……諦めきれない気持ちがあるから。 チカにサラダを作ってやって、俺の家で俺のそばで、チカはサラダを食べる。 チカが話さないと会話がない。 ぼんやりとしながら食べるチカの頭を軽く撫でようとしただけだった。 「いやっ!」 なんていう大きな声をあげて、俺の手を強く振り払う。 本気で驚いた。 びくっとした。 フードを深く被ったままの下から、チカは俺を見て、自分の手を見て、泣きそうな顔を見せて。 俺の服の袖を強く掴んだ。 ごめんって言われてもいないけど、聞こえた気がした。 それはチカにとってかなり無意識なものだったのだろう。 震えて、俺の袖を掴んだまま泣き出した。 やっぱり…そう喜んでばかりもいられないようだ。 それがあったから、今ここにチカがいてくれているけど。 チカにとっていいことなんかじゃない。 俺のせい…でもあるし。 …喜んではいけないこと…。 でも、それでも…。 ここにいて、俺の袖でも握って、俺を頼ってくれたら…うれしいと思う。 「……大丈夫…だから。泣くな。思い出したくもないことかもしれないけど、落ち着いたら警察いって話してくれればいい。…もう薬物所持と使用で捕まえてもらったけどな。そこに婦女暴行被せてやれ。おまえの体から薬物反応が出ると厄介だから、せめて1週間くらい待ってからのほうがいいかも。警察にはもう話、通してあるから」 俺は振り払われたことをなかったことにするように、気にしていないという顔を見せて言ってやる。 そういえばチカにどうまとめたのか言ってなかった。 あの場にいた奴らは全員、警察の世話になることになった。 逃げ出そうとした奴はいなかったけど、オーナーにも世話になった。 松田さんにも色々と融通きかせてもらっている。 改めてまた今度、礼を言うべきだろう。 「…トモは?」 チカは泣いているのが落ち着くと聞いてきた。 「留置場にでもいるんじゃね?」 捕まって刑務所入れられたこともないし、そのへんの仕組みはよく知らない。 チカを犯した主犯とも言えるけど、トモは女で計画をしただけで。 刑事的な問題上では薬物の使用と所持しかない。 売人もやっていないし。 実行をした男が強姦罪を背負うことになる。 たとえ、まわりに流されただけだとしても。
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